Site icon そば 北山権兵衛 Kitayama-Gonbe| Kyoto,Soba,Udon,Donburi

【昨今の” れんげ” 事情】

皆さまこんにちは、何時もありがとうございます。
二月も終わり、少しずつ日の長さを感じられる様になってきて三月と云うだけで少し気分も春めいて来ています。
が、今年はインフルエンザが猛威をふるっているらしいので、まだまだ油断は禁物です。そういう僕も先月の終わりにA型なるものにかかりまして、休業を余儀なくされ、お客様には大変ご迷惑を掛けました。
皆様もどうぞご自愛下さい。

さて今日は、最近客席から良く声が掛かる
「すいません!れんげみたいなの有りますかぁ~?」について、よもやま話したいと思います。
おかしいでしょ?「れんげみたいなの」って何でしょう?(笑)
決まって、「れんげみたいなのじゃなく、”れんげ“しかありませんが」ってお答えしますが…。

まぁ、仰っている事は良く分かります。出汁がとっても熱くて器に直接口をつけられないので冷ます為の何か道具が欲しいと申されているのでしょう。
もちろん、”れんげ”は売るほどございますのでお出ししますが、何時からほとんどの皆様が”れんげ”を使われる様になったのでしょう?

思うに、ラーメンブームの影響でこちらにまで飛び火したのではないでしょうか。
見ていますと、あの”れんげ”の窪んだ部分に、ラーメンを食べる時にそうする様にそば、うどんを器用に何本かずつ乗せて口に持っていかれます。
これは完全に冷めるでしょうけど、折角麺に絡んだ出汁も落ちてしまいますし、見ているこちら側からすると、あまり美味しそうには映りません。
やはりある程度の量をお箸で引き上げてこそ、出汁の絡みも良くなると思います。

何人かでお見えになって、丼物やご飯物を少しずつ取り分けるのに使われるのは理にかなっているのでしょうが、片手に”れんげ、もう一方に”お箸”ではちょっと違和感があるように思います。
と云いますのも、“うどん、そば”の出汁は直接器に口を付けて、すすってこそ鼻からも鰹の香りが広がるのです。

度々落語の例えで恐縮ですが、”うどん”を食べる時のあの所作は”扇子”を箸に見立ててもう片方の手で器を持ち、顔を近付けてズゥ~ッとやりフゥ~フゥ~と冷ます真似事で成立するのです。
前述の動作ではやっぱりラーメンに見えてしまいます。
女性の方は”れんげ”を使った方が上品なんじゃないかと思われるかもしれませんが丼物を食べるのは、かえって”れんげの大きさに口を開けなくてはなりませんので大口になってしまいます。本当に食べ難そうです。
やはり、小さい頃から箸を使う頻度が少なくなって、スプーンやフォークの出番が圧倒的に多いのが原因なのかもしれませんね。
豆ご飯の豆を一粒だけ掴めるのは箸だけなのに、少し残念ですね。

そう云う僕も、洋食をたべに行っても許される限りお箸を所望する事にしています。お店側からしたら、フォークとナイフで食べて欲しいと思われているかもしれませんが、実際 生野菜のサラダ等は、フォークで最後まで食べるのは至難の業ですし、人参の千切りや水菜の一本が残ってしまいます。
綺麗にお箸を使うことはとても上品に見えますし、行儀の良い姿に映る様に思います。
今までは、お見えになる外国のお客様がどれ程長く日本に居られるのかが、”れんげ””スプーン”の所望で良く分かりましたが、最近じゃ逆になって来ているようで少し寂しいです。

別に強制しているわけではないので、そんなに大層に考えなくてもいいですし、麺を啜れないお客様には悪いですが、折角音をたてて食べても良い数少ない食べ物です。店内から美味しそうな音まで消えるのは残念です。

蛤と菜種のお蕎麦(「三月の季節のお蕎麦とご飯」)

今度お越しの際は、一度”れんげ”無しで召し上がってみて下さい。
思っているより美味しい事受け合います。

「ほな、スプーンにするわ!」ってですか~( ̄□ ̄;)!!

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