「黄金の物差し」

トイレ写真2

皆様こんにちは、毎度ありがとうございます。
節分も過ぎ、ちまたではバレンタインやおひなさまの広告、宣伝を見かけます。日が暮れるのも幾分か遅くなったと感じられる様になってきました。
やはり暖冬のせいか今年は、底冷えの京都という感覚はなかった様な気もします。
とはいえ、まだ流感が猛威をふるっているらしく、風邪と共に気を付けておからだご自愛ください。

さて、本日のお題は「黄金の物差し」

黄金のものさしはて、何のこっちゃ? ですよね。
去年の秋口に、常連のお客様のFacebookのポストに当店の事を書いていただいた記事があります。
料理や接客態度、値段等々についてではなく、うちの店の”トイレ”が好きとコメントくださったのです。

トイレ写真1実は、今の店の設計に当たって調理場の動線の次に重視したのがこの”トイレ”でした。狭くても綺麗で居心地の良い空間にしたかったのです。

もう何年も前ですが、テレビで視たドキュメンタリー番組なのですがそれはフランスの地方都市にある、ずいぶん繁盛している三つ星レストランのお話でした。
大層お料理も美味しく、瀟洒(しょうしゃ)な造りの館で、毎日予約で詰まっているのが常のお店なのですが、お客様が食べてお帰りになる度に店の主人自らがトイレ掃除を行うのです。つまり日に何度もということなのです!
星を獲得できる名店というのは、味や接客、調度品の素晴らしさだけでなく
食事や調理の対極にあたる所まで主自身が目を光らせ、行動に移さないと駄目なのだと感心しました。

その映像が目に焼き付いていましたので、店のトイレにもその精神をまねしてみたのです(お帰りの度の毎回掃除とまではいきませんが^_^;)。ですので、今回のいただいたこのコメントが僕のトイレへの考えと一緒でしたので本当にうれしかったのです。
「トイレの良い店は隅々までおもてなしの心が行き届いている」
と書いておられました。
こんな褒め言葉いただけるとは思ってもいなかったので、何度も何度も読み返しました。
トイレ写真2僕もトイレの綺麗なお店は、味にもプラスされて、美味しくないはずがないと思っています。
自分の中に決めたルールみたいなものがあって、それにそぐわないとトータルで
合格点には達しないのです。
そのルールこそが今回の「黄金の物差し」だと、自分で勝手に名前をつけてみたのです。

皆様も、それぞれこの”物差し”をお持ちだと思います。

ちなみに僕は、自分がお金を出せる範疇(はんちゅう)で買おうか止めようかと悩む時はその欲しいものが1週間、頭の中から出て行かなかったら購入する事にしています。つまり、それにどれ程熱を上げているか物差しで計っているのですね。
まぁ、たいがいのモノは1週間保たずに消えていきますが、それでも忘れられずに手に入れたものは、多少値がはったとしてもだいじにしますし愛着がわく事になるのです。

現に今、手元に残って毎日使っている年代物は、過去にこの”物差し”にあててみて”黄金”に光った物達ばかりの様に思います。
ですから昨今の百円均一のお店ではあまりにも安価なのでこの”物差し”の出番がなく、ついついになってしまい結局のところ要らない物まで買ってしまう始末です。

この”物差し”は物だけではなくて、人間関係においても大いに威力を発揮する様に思います。
初めての方とお話ししていても、途中でキラッと光ると、たちまち旧知の仲になれる様に思いますし、突っ込んだ話もできそうです。
お客様とは対等にとはいきませんが、今回のように
「トイレが良い店はきっと味も良い」
という「黄金の物差し」の光り方が一致した事は、僕の物差しもまだまだすてたものではないという事です。

皆様の物差しの光所も教えて欲しいものです!
いかがです?恋人や伴侶には光輝きましたか?
僕の場合は、奥さんの物差しが果たして”黄金”に光ったか?それこそ
「計り知れません」。( ̄0 ̄)

今月もお客様の”物差し”がたくさん光り輝く様に精進して行きます。
どうぞ、よろしくお願い致しますm(_ _)m

追伸としまして、今月20日から6日間、毎年恒例の
「京都高島屋 ごちそう展」
開催です。
当店も展示、実演と参加させていただきます。
お時間ございましたらぜひ7階までお越し下さい。
店と併せてたくさんのご来店お待ちしております<m(__)m>

「一枚目、二枚目、三枚目!」

南座全景

皆様こんにちは、いつもありがとうございます。
今年も早、カレンダーの最後のページ二段になりました。(こう書くのさえせわしないですが………..)。

南座全景

先月の終わりに、二年間耐震補強工事のため休館していた京都南座に久しぶりに「まねき」が揚がりました。
「まねき」とは、京の師走の風物詩「吉例顔見世興行」の開幕前に劇場の正面に揚げられる、出演歌舞伎役者の名前が記された木看板の事です。
例年通りですと、年末のひと月公演ですが、今年は南座が約三年間の休場を経ての再開場でしたので、11,12月の二ヶ月公演が行われました。そのため、ひと月早いお目見えとなったのです。
読んで字のごとく、お客様を招き寄せるようにと付いた縁起の良い名前ですね。
さて、今回はこの「まねき」にまつわるお話。最後までお付き合い下さい。

南座顔見

ハンサムやカッコいい男の人を二枚目と呼んだり、醜男(器量の悪い男)やお笑い担当の人の事を三枚目といったりしますよね。実はこの言葉「まねき」に由来してるらしいのです。

江戸時代、歌舞伎小屋には俳優の看板(名前だけではなく、場面や所作事の切り取り、今でいうサムネイル的な看板)が揚げられてたそうです。
この看板が全部で八枚あって、そこに登場する役者は人気や実力があるという証ですので、それこそ大看板ですね。

その看板の一枚目から八枚目まで、それぞれ役割が決まっている様です。

  • 一枚目・・・・・・トップですので当然主役ですね
  • 二枚目・・・・・・若くハンサムで色事担当
  • 三枚目・・・・・・道化、お笑い担当
  • 四枚目・・・・・・まとめ役、中堅役者
  • 五枚目・・・・・・そのお話、物語での敵役
  • 六枚目・・・・・・憎めない敵役
  • 七枚目・・・・・・全ての悪事の黒幕
  • 八枚目・・・・・・座長、元締め

こんな順番になってたみたいです。

なぜかこの二枚目、三枚目だけが残って、今も使われてるみたいですね。
因みに得意な事を十八番(おはこ)と呼ぶのも、歌舞伎の言葉で成り立ってるみたいですよ。何もお芝居に限らず普段の環境においても、この八通りの人物で生活出来てるんじゃないかと思えてきます。
皆さんはさしずめ何枚目辺りですか?

秋も深まり初冬をむかえ、食材も美味しくなってきました。
当店もあの手この手で「まねき」ならぬ「しながき」を看板に揚げておりますが
何と申しましても一枚目の主役、お客様が入って来られませんと開幕できません。
「招き猫」の手も借りたい程の大入りを期待して師走を迎えたいと念います。

「えっ、誰がいうてんにゃってですか?」
「ハイ、終始三枚目を相務めます 当店店主にござりまするぅ~」<m(__)m>

「最期の晩餐」| 好き嫌いの話

皆様こんにちは、何時もありがとうございます。
今夏は異常な暑さと大型台風の発生頻度数の多さで、毎年の段取りが通用しない季節となりました。
それでもお盆にはたくさんのご来店をいただき、時間によりましては随分とお待たせしてしまって申し訳ありませんでした。

さて今回は「最期の晩餐」なんて難しい名前のお題です。
もともとはキリストが受難前夜に12人の弟子とともに祝った晩餐の事で
レオナルド・ダヴィンチの壁画で良く知られている名前です。
でも今日はそんな大層な話ではなくて、一昔前にはやった
明日命が尽きるとしたら、その前日の夕食に何を食べたいか?
っていう、そんな話です。
まぁよく考えたら、明日死ぬかもって時に食べ物なんか喉を通らなさそうですけどね…(笑)
つまり食べ物で何が好きか?という質問ですね。
その答えに「うどん・そば・丼」が出て来る事が割りに多く、うちの店でもそんな話になった時に、「俺は最期の晩餐には此処の親子丼食べて、ポックリ逝くわ!」
とか、「此処のざる蕎麦すすって最期にするわ」とか、「やっぱり最期はこの出汁やな!」なんて言っていただくと、嬉しいような責任が重いような、ありがたい様な気持ちになります。

 

もちろん、「断然焼肉!思い残さず食べきる!」とか「雲丹とイクラの握り!」
とか、「あそこの、あのケーキを最期に!」なんて甘党の方もおられると思いますが、うどん・そば屋が候補に挙がるのも一理あるように思うのです

と言いますのも、好きな味覚は幼児期の記憶なんていったりします様に離乳時に数多く食べた味を好きになる確率が多いんだそうです。
その離乳時期に重宝するのが「うどん・そば」なんですね。
出汁も麺も安心して食べさせる事ができる食材ですし、細かくすることも融通が効きます。
ですのでこの時期の来店回数が増えるのです。
その後、大きくなるまでは暫く親と一緒の行動ですので刷り込まれてしまうのでしょうね。

うちの店でも赤ちゃんの時から知っていて、その子が自分の子供を連れて来店、なんて凄く嬉しい出会いが数多くありますが、先程の通り食べる注文はほとんど変わらず子供の時のまんまですもんね。それが今度は自分の子供にも…となって当店の中毒になるのです(笑)
ですのでガラッと玄関が開いて顔が見えただけでもう調理し始めますもんね。
十中八九当たります!

こんなお客様ですと、前述の「此処の親子丼食べて逝くわ!」というのもうなずけます。
逆にいいますと、少しでも味が変わると、たちどころにバレてしまいそうな大変怖いお客様でもあるわけです。
だって食べていただいている回数は作っている僕よりもはるかに多いですもんね。

このお盆もバギーを伴ってのご来店多ございました。
よく、「子供連れていますが大丈夫ですか?」って訊かれますが、とんでもない!大歓迎です!
この親から子への連鎖が何組も、そして末永く続いて行くように店は精進していかなくてはなりません。
なんせ、「最期の晩餐」に選んでもらわないといけませんしね。

「そう言うお前はもちろん、うどん・そばで最期を迎えるんやろな!」ってですか?
嘘でもそういわんとあかんのでしょうけど、実は美味しい手焼きのパリッッとした醤油煎餅ですねん^_^;
やっぱり離乳時に、うどん・そばより食べた回数が多かったのでしょうね…。

これは余談ですが。男の人が女の人のオッパイにトキメクのも離乳期の淋しさを
引きずっているのかもしれませんね。ですので「最期の晩餐」は…(^-^;)
あくまでも余談ですよm(_ _)m

お付き合いありがとうございました。
来月もたくさんのご家族連れ様、お待ちしておりますm(_ _)m

「手と目といっしょ!」

皆様いつもありがとうございます。
先日の地震では、沢山の安否のお問い合わせいただき、甚だ不謹慎ではございますが、あらためてお得意さん、常連さんの有り難さを再認識させていただいた次第です。本当にありがとうございました。

さて今日は夏日も続く梅雨真っ只中!仕事への気の緩み、横着さを戒める為に自分に言い聞かせるお話。どうぞ最後までお付き合い下さい。

「手と目といっしょですよ!」
このフレーズは今から二十数年前の僕の東京修業時代に店主(旦那さん)によくたしなめられた、忘れられない言葉です。

  • 手をすべらして器を欠いてしまった時
  • 包丁で指を切った時
  • 野菜の裁断の寸が揃って無い時
  • 蕎麦切りの包丁の目が不揃いな時

等々何かにつけて云われ続けました。
当時は「又かいな!」って程、耳にタコでした。
その時一緒にお世話になっていた仲間達は、この文章を読むと大きく頷く事でしょう。今となっては自分が誰彼無しに使う言葉になりました。
本当に言い得て妙な台詞なのです。
細かい簡単な失敗は、殆どこの言葉通りに動けば防げることばかりなように思うのです。

最初は緊張しながら進める仕事も、慣れてきますとつい最後まで目が行きとどきません。
コップ一つをテーブルに置くのだって、最後まで目を離さずにしていますと音さえも静かに着地させられるのです。
どうしても経験が物を言って、普段通りに出来ると思い込むのです。そこに何時もと違う段差でもありますとたちまちこかしてしまう始末なのです。

例が悪いかもしれませんが、昨今多くなっています高齢者の車の発進事故も
この慣れが優先して起こってしまう事案の様な気がします。

細部まで目を配りなさい、慣れてしまい初心を忘れない様にとの二つの意味を持つ戒めの言葉なのです。今頃ぼちぼちと理解しています。

こんな風に当時を懐古しますと、その「旦那さん」はもうおられない様にきこえてしまいますが、決してそんなことはなくてお元気です!(笑)
御歳九十になられましたが、蕎麦の話、店の話等で電話しますと此方はずっと背筋が伸びたままでの会話となります。

色んな事を吸収出来たかなって思うのは、それが出せる場面が訪れると気付く事です。
やっぱり全然足元にも及ばないのです。
「手と目といっしょですよ!」…はい。

余談ですが、これからの時季、世の女性は薄衣になって男性にとりましては
目の保養にも一役かってくれますが、くれぐれもそこ止まりですよ!
そこで 「手と目といっしょ!」を適用しますと
たちまち「手と輪といっしょ!」になりますのでね(^-^;)

京都の夏突入です。水分補給もしっかりとお身体ご自愛下さい。
お付き合いありがとうございましたm(_ _)m

 

「オーラ!」って何?

皆様こんにちは。何時もありがとうございます。
とうとう梅雨入りして毎日ジメジメ( >_<)
うれしそうなのは紫陽花とカタツムリくらいです。
食材も傷みやすいので衛生管理を徹底したいと思います。

さて本日は、あまり食には関係ないお話ですがお付き合い下さい。

去年くらいからでしょうか?ちょくちょくお見えいただく様になった割とハンサムな青年のお客様がお一人。
来店される時期は決まっている様で、或る時期などはほぼ毎日お見えいただきました(今はぱたっと止まっていますが…)。

実は彼、俳優さんで、よくテレビや映画にも出演されていて、かなり露出の多い人らしいのです。
”らしい”と云いますのが、実は僕、全然気付いて無くて毎日来店されている時などは”近くに越してきた学生さん”くらいに思っていました。
でも他のお客様は違って、帰り際には決まって
「○○さんでしょ?」
「オーラ出てるもんね!」
「やっぱりオーラがあるなぁ!」
「どことなくちょっと違うなぁ~」
等々、気付いておられる方は口々にそう仰るのです。

ここで今日のお題の「オーラ!」って何?となるわけです。
”ちょっとハンサムな近所にひっ越してきた学生さん”って思ってる僕には
まさに“???”でした。
もう一つ云いますと、丁度その頃楽しみに観ていたNHKのドラマにその彼が出演していたのです。ちょっと様子が変わっただけで、全く分からなかったなんて恥ずかしい限りです。

「オーラ」とは?調べてみました。

  • 「微風」「朝の爽やかな空気」を意味する:ギリシア語(アウラー)に由来。
  • 「風」「香」「輝」を意味する:ラテン語(アウラ)に由来。
  • 「近づき難さ」「威圧感のある人」

と、諸説あります。

そしてこの「オーラ」なるものを見える人も居るらしいのです。

その人に感謝や感激をしている時に、背に「後光が射している」なんて云いますよね。それに似ているかもしれませんね。
過去に居たバイト君は、僕に輪をかけてそういった事に疎く、バイト仲間からは
「○○さんは、ミッキーマウス本人が来たときくらいしか気付かないんじゃないですか!」
って云われてたのを思い出しました(笑)

でもこの「オーラ」は、なにも人物に限って適用せず、生活している事柄全般に感じる事が出来るんじゃないでしょうか。
自分の大好きな対象物が現れた時に、想像を大きく超えていると、この「オーラ」を見たり、感じたりする事が出来ると思います。

料理にもそれは存在している様に思います。
その時期一番の食材を、一流の腕を持つ料理人が手掛け、器から接客、調度品、全てに至るまで一切手を抜かず、来客をもてなすとしたら…。
もし僕でしたら、この「オーラ」は”近づき難さ”や”威圧感”のある方に感じるのかもしれません。

又、独り暮らしの学生さんの部屋に、郷里の母親から久しぶりに届く懐かしい味の惣菜。これはそれこそ、後光が射しているでしょうね。
自分の価値観や慣れを超えると現れる「オーラ」。

毎日作っている「うどん・蕎麦」が、それこそ「微風」であったり「爽やかな朝の空気」をお客様に感じていただければ良いなと思います。
間違っても「近づき難い」オーラが出ませんように…。

蛇足ですが先日、仕込みに行くのに駐車場から車を出そうと、アクセルを踏みかけた時に、何時もと違う、いわゆる違和感がありました。
暫く前方を良ぉ~く見ていますと、動くものがあります。

何と!カマキリがカマを持ち上げて全力で車を威嚇しているのです。
発進していますと間違いなく踏みつぶしているところです。
彼らはどんなに自分よりも大きなものであっても、向かって行こうとします。
これなどは、生き物大好きな僕に見える「オーラ」かもしれません。
もしそうだとしたら、すごく嬉しい事です。もちろん、車から降りて彼を手に乗せて移動してもらいました!

「それは虫の知らせちゃうんか!」ってですか?
そうかもしれませんね。もう少しで
”虫の息”になっていたところですもんね(^-^;)

梅雨時の足元悪い中、お出掛けいただきましてありがとう御座います。
今月も宜しくお願い致しますm(_ _)m