「一枚目、二枚目、三枚目!」

皆様こんにちは、いつもありがとうございます。
今年も早、カレンダーの最後のページ二段になりました。(こう書くのさえせわしないですが………..)。

南座全景

先月の終わりに、二年間耐震補強工事のため休館していた京都南座に久しぶりに「まねき」が揚がりました。
「まねき」とは、京の師走の風物詩「吉例顔見世興行」の開幕前に劇場の正面に揚げられる、出演歌舞伎役者の名前が記された木看板の事です。
例年通りですと、年末のひと月公演ですが、今年は南座が約三年間の休場を経ての再開場でしたので、11,12月の二ヶ月公演が行われました。そのため、ひと月早いお目見えとなったのです。
読んで字のごとく、お客様を招き寄せるようにと付いた縁起の良い名前ですね。
さて、今回はこの「まねき」にまつわるお話。最後までお付き合い下さい。

南座顔見

ハンサムやカッコいい男の人を二枚目と呼んだり、醜男(器量の悪い男)やお笑い担当の人の事を三枚目といったりしますよね。実はこの言葉「まねき」に由来してるらしいのです。

江戸時代、歌舞伎小屋には俳優の看板(名前だけではなく、場面や所作事の切り取り、今でいうサムネイル的な看板)が揚げられてたそうです。
この看板が全部で八枚あって、そこに登場する役者は人気や実力があるという証ですので、それこそ大看板ですね。

その看板の一枚目から八枚目まで、それぞれ役割が決まっている様です。

  • 一枚目・・・・・・トップですので当然主役ですね
  • 二枚目・・・・・・若くハンサムで色事担当
  • 三枚目・・・・・・道化、お笑い担当
  • 四枚目・・・・・・まとめ役、中堅役者
  • 五枚目・・・・・・そのお話、物語での敵役
  • 六枚目・・・・・・憎めない敵役
  • 七枚目・・・・・・全ての悪事の黒幕
  • 八枚目・・・・・・座長、元締め

こんな順番になってたみたいです。

なぜかこの二枚目、三枚目だけが残って、今も使われてるみたいですね。
因みに得意な事を十八番(おはこ)と呼ぶのも、歌舞伎の言葉で成り立ってるみたいですよ。何もお芝居に限らず普段の環境においても、この八通りの人物で生活出来てるんじゃないかと思えてきます。
皆さんはさしずめ何枚目辺りですか?

秋も深まり初冬をむかえ、食材も美味しくなってきました。
当店もあの手この手で「まねき」ならぬ「しながき」を看板に揚げておりますが
何と申しましても一枚目の主役、お客様が入って来られませんと開幕できません。
「招き猫」の手も借りたい程の大入りを期待して師走を迎えたいと念います。

「えっ、誰がいうてんにゃってですか?」
「ハイ、終始三枚目を相務めます 当店店主にござりまするぅ~」<m(__)m>