「昨今のSNS写真事情」| Kyoto,Gonbe,Soba,Udon,Facebook,SNS

皆さまこんにちは、何時もありがとうございます。月始めに早くも夏休みいただき勝手いたしました。これからまだまだ暑さ厳しくなりそうですが、今月も宜しくお願い致します。

さて今回は”そば・うどん店”においての携帯端末の写真投稿についてお喋りしてみたいと思います。



そうですね、「おまたせしました!」と注文の品を持っていきますとお客様の半数はお持ちの携帯のカメラのレンズを向けられます。
そして自分の頼んだ品を撮影してコメントを添えてSNSに投稿される訳です。
店にとりましてはリアルタイムの料理を多数の方に宣伝していただける訳ですから大層な販売促進になりますね。
中には、店名入りのお箸や湯呑みも一緒に写して、自分は此処に居るのだとアピールして、尚且つチェックイン機能も使って下さる方もおられます。

非常に有難いと思います。

が、しかし作っている料理人の立場からしますと「一刻も早く食べていただきたい」というのが正直なところです。


麺類というのは、焼き肉やお好み焼きといった様に食べるまでの行程さえも美味しく撮れる料理ではなくて、完全完成型をお客様にお出しします。
つまり、目の前に来た時が一番美味しい状態なのです。そこからずぅ~っと味がおちていきます。出汁は冷めますし、麺はのびてきます。


じゃ、どうして最後まで食べていられるのでしょうか?
それは最初目の前に来た熱々の出汁やヒヤッとするほど冷えた麺の食感を舌が覚えていて、その記憶を徐々に出していくのでしょう。
それが証拠に人は食べているのを途中で味見しても”美味しい!”とはなりませんからね。ですから出だしが勝負なのです。

余談になりますが、或るアイドルグループが番組内で調理し、その時のゲストの注文通りの料理をつくるといった皆様も良くご存知のバラエティー番組での記憶ですが、その回のゲストが僕も大好きな「伊丹十三」さんでした。その時のリクエストが”パスタ”つまり麺料理だったのです。各自趣向を凝らし素晴らしい一皿が出来上がりました。
本来ならば一番カメラ位置の良い席に運ばれて来るのに、なんと彼自らが立って今まさに運び出そうとしているテーブルで立ったまま食べられたのです!
一同唖然としていましたが、「パスタは出来立て直ぐが身上!席まで運ぶ時間さえ惜しい」とおっしゃったのです。
その時の映像が鮮明に頭に焼き付いています。
あの時も、この人になら作り甲斐があるなぁ~と思ったものです。

先ほど勝負なんて言葉を使いました。まぁそれほど大層じゃなくても良いのかもしれませんが、やっぱり一番のタイミングで召し上がっていただきたいですもんね。


当店のメニューやホームページにも多数の美味しそうな写真を掲載しています。これも出来るだけ出来立てをということでプロのカメラマンさんに調理場に入ってもらって、場合によっては調理中の様子も収めてもらっています。


ですので、「写真に撮らないで」と言っている訳ではなくて、「素早く写して先ずはお口に運んでください」。間違っても、投稿文を念入りに考えて打ち込んでから食べ始めるのはお客様も作り手も悲しい結果になります。

かく云う私も、出掛けますとバシャバシャとやりますので何処かで誰かを悲しくさせているかもしれません。“人の振りみて我が振り直せ”でございますね。

それじゃあと、調理場に入っての撮影は困りますが、能天気な店主と一枚!
これは喜んでお受け致します。
お声掛け下さい(笑)